ピアスをイヤリングに・フラワーモチーフのコスチュームジュエリー

お客様よりご相談でお持ちいただいたのは、イスラエルのデザイナーが生み出すコスチュームジュエリー。有機的で彩り豊か、独特の世界観が素晴らしいブランドのピアスです。
クリスタルがあしらわれたフラワーモチーフのピアスは、同じデザインの指輪とセットでお持ちとのこと。以前お勤めされていた会社を退社される時に、部署の同期の方々から贈られた思い出のお品だそうです。
その後、年月を経てピアスホールが塞がってしまい、身につけることができなくなってしまったそう。イヤリングにリメイクしたいとのことでした。

私もよく知っているブランドのものですし、原則的にやはり製造されたメーカーにお願いされるのが一番安心です。一度、問い合わせていただくことをお勧めさせていただきました。
が、このデザインはピアスからイヤリングにはチェンジできないとの回答だったそうです。
同じピアスでも、ピアス金具にパーツが揺れるデザインですと、揺れるパーツをイヤリング金具に付け替えるだけのことが多いですから、容易にチェンジできます。しかし今回は、耳たぶに直結させるポストピアスですから、イヤリングにするにはいわゆる『工事』が必要になってきます。この辺りのリメイクになってくると、販売メーカーさんで対応してくれるところは、非常に少ないのものなのです。
ということで、Atelier Yuu*にてイヤリングにリメイクさせていただくことになりました。

まずは、ポスト部分をニッパーでカット。取った跡は凸凹しているので、ダイヤモンドの回転刃で平らにならします。ポストを溶接された際のロウ材なのか?シルバーカラーのメタルが顔を出しました。あまり削りすぎると穴が開いてしまうこともあるので、この辺でストップです。
カットしたり削ったり…もうね、凄く怖い作業なんです。お預かりしたものに手を加えるわけですから、いつも破損の可能性と隣り合わせ。直接傷をつけないことは勿論ですが、気を付けていても、振動や力の伝わり方次第で破損につながる危険がいっぱい。無事に取り除けたので、一安心です。ここで、軽く酸欠になります^^
あとは、イヤリング金具ですね。「金属の色目が合うもの」「取り付ける土台に合う形状のもの」を吟味して探し用意したものを、接着で取り付けます。接着剤は、ガラスや金属なども接着できる強力なものを使用しています。
接着は、アクセサリー作家さんならご理解いただけると思いますが、実に奥の深い加工です。
素材に合う合わないの強度の見極め、美しく仕上げるための適切な量の見極め、接着剤の硬化時間と作業時間との見極め、完全に接着剤が硬化するまでの適切な固定などなど…
「接着」というと安易で容易な加工の印象を持たれる方も多いのですが、経験や技術が仕上がりを左右します。日々生まれてくる新しい素材や、進化していく接着剤に対応していけるよう、いつまでも研究が必要で知識を更新しないといけない加工です。私もまだまだ勉強中^^




無事に、ネジバネ式のイヤリングになりました。金具の色めもバッチリで、元からイヤリングとして販売されていたかのように綺麗にできました。良かったです。
今はスタイリストとして独立されて、二人のお嬢様がいらっしゃるお母様。いずれは、お嬢様たちに受け継いで身につけてもらいたいそうです。このように持ち主の生活に合わせて大切されていくアクセサリーたちは、とても幸せですね。そのお手伝いをお任せくださり、ありがとうございました。

- お持ち込みイヤリング(合金製、クリスタルガラスつき)
- 合金製メッキ金具(金古美仕上げ)でイヤリング加工
- 参考リペア価格 5,000円前後
※デザインにつきましては、おおまかなご希望のみお伝えいただき、基本的にお任せいただく形を取らせていただいております。
<Syuri16>
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